訪問看護ステーションの求人増加傾向にあります。
訪問看護ステーションの求人倍率は3.22倍、施設種別で最も高くなっています(※1)。
訪問看護師は、現時点で最も求められている職種といえるでしょう。
参考資料
(※1)
2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果(公益社団法人日本看護協会)
訪問看護師不足と2025年問題について
日本は、高齢化が進む先進国の一つとして知られており、今後も高齢化率は上昇すると予測されています。
このため、高齢者の医療や介護など、関連する分野においても需要が高まっています。
その中でも、訪問看護師は、高齢者が自宅で生活するための医療サービスを提供する大切な役割を担っています。
しかし、訪問看護師の不足が深刻化しており、国民の4人に1人が75歳以上となる2025年には5万人以上の不足が予測されています。
訪問看護師は全国で約4万人で、看護師全体の約7.1%しかいません
訪問看護師の不足が深刻化する背景には、訪問看護師の労働環境や待遇の悪化があります。
そのため現場で働く人たちへの負担が大きいことや、訪問看護に対する理解や知識が不足していることなどが考えられます[※2]。
訪問看護師は、自宅を訪問するために移動時間がかかるため、移動時間が無駄にならないように、1日に訪問できる利用者数が限られています。
そのため、訪問看護師の収入が低いことが多く、職場環境も悪くなっています。
こうした要因が重なることで、訪問看護師の転職率が高くなっており、新卒の採用も困難になっています。
訪問看護師の不足は、高齢化が進む現代社会において深刻な問題となっています。
高齢者が自宅で安心して生活するためには、訪問看護師が不可欠な存在です。
そこで、訪問看護師の待遇や労働環境を改善し、訪問看護師の魅力を高めることが必要です。
特に、訪問看護師の収入を増やすことや、労働時間の短縮など、職場環境の改善が求められます。
また、若い世代に訪問看護師の魅力を伝え、訪問看護師を志す人材を増やすことも大切です。
訪問看護師は、高齢者の生活を支える重要な役割を担っていることや、自宅を訪問するために地域に密着した医療サービスを提供することができることなど、魅力的なポイントが多くあります。
若い世代に訪問看護師の魅力を伝えることで、訪問看護師を志す人材を増やし、訪問看護師の不足を解消することができます。
参考サイト
※2) 2025年に必要な看護師は最大202万人 訪問看護師は2.5倍の ….
訪問看護の今後の方向性とアクションプラン2025
日本は超高齢化社会であり、2025年問題に直面しています。2025年問題は、団塊の世代(第1次ベビーブーム世代)が75歳以上になる時代に起こりうる問題であり、この問題に対応するために、訪問看護が重要な役割を担っています。
訪問看護は、地域医療において、高齢者や慢性疾患患者など、在宅医療を必要とする人々に対して、医療行為や生活支援を提供することで、その生活の質を向上させることができます。
そのため、訪問看護は、高齢化社会において、ますます重要性を増しています。
訪問看護推進連携会議は、訪問看護の発展に向けて、アクションプラン2025を策定しています。
このアクションプランは、日本訪問看護協会、全国訪問看護事業協会、日本訪問看護財団の3団体が構成しています。
アクションプランには、以下の4つの大きな方向性があります。
訪問看護の量的拡大
訪問看護の需要は、高齢化社会の進展に伴い、年々増加しています。そのため、訪問看護サービスの提供体制を拡大することが必要です。アクションプランでは、訪問看護ステーションの新設促進や、訪問看護師の数の増加などが挙げられています。
訪問看護の機能拡大
訪問看護は、医療行為だけでなく、生活支援にも重点を置いています。アクションプランでは、訪問看護師の業務内容の充実や、医療機器の活用などが挙げられています。
訪問看護の質の向上
訪問看護の質を向上させることは、訪問看護の発展にとって非常に重要です。アクションプランでは、訪問看護師の研修や、訪問看護報酬の改善などが挙げられています。
地域包括ケアへの対応
地域包括ケアは、高齢化社会においてますます必要性が高まっています。アクションプランでは、訪問看護師と介護士の連携強化や、地域包括ケアの推進などが挙げられています。
訪問看護は、高齢化社会において必要不可欠な医療サービスです。
アクションプランに示された4つの方向性に沿って、訪問看護の質の向上とサービスの拡大を目指し、高齢者や慢性疾患患者の生活を支援していくことが求められています。
訪問看護のアクションプラン2025とは?
量的拡大に向けた取り組みとして、24時間365日の体制整備や地域での偏在解消、スタッフの確保、ワークライフバランスの改善、新卒訪問看護師の確保などが挙げられます。
また、医療機関と訪問看護ステーションの交流や情報交換を促進し、訪問看護の提供場を増やし、介護施設や学校でも訪問看護を提供することで、機能拡大を図ります。
質的向上に向けた取り組みとして、専門家の育成、ターミナルケア、緩和ケア、精神科疾患治療、心身障害児支援などに注力し、管理者研修の充実や学校との交流や情報交換、実習の積極的活用を行います。
また、各県に1箇所以上の機能強化型訪問看護ステーションを配置することで、ステーションの安定した運営や基盤を整えることも目指します。
このアクションプランにより、訪問看護に対する取り組みがより充実し、高齢化社会において医療・介護の両面から支援を行うことができます。
訪問看護は、患者さんが自宅で生活を続けることができるように支援することで、その家族や地域社会にも貢献します。
また、高度な医療技術や知識を必要とするターミナルケアや緩和ケアを提供することで、より良い看取りを実現することができます。
看護師の方は、訪問看護に携わることで、患者さんと直接向き合い、その人の生活や状態を把握しながら、適切なケアを提供することができます。
このように、訪問看護は、医療や介護に携わる方々のスキルアップや、より良い医療・介護を実現するための重要な役割を担っています。